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2023年1月に読んでおもしろかった本とテレビ・映画紹介。聖なる証、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」など

月イチペースでやっております。おもしろかったとテレビ・映画紹介の2023年1月版です。今月観た読んだ目にしたものからおもしろかったものを紹介しています。

聖なる証

2023年はじまってまもないのですが絶対にベストに入ってくる映画だったと感じます。無宗教の人間が多い日本では作り得ない、宗教という物語が紡いできた壮大な人間の生き様や価値観というものが、家族間における知らぬ間の虐待に繋がっていたり、生きるためにあったはずの物語が死をもたらしたり、真実を隠すためにある物語が宗教でああるのかはたまた物語である人間の人生を紡いでいくためにある大切な物語であるのか。現代にもある根深い問題であることを問いただすような、最初に撮影現場が映し出される演出には驚かされました。すごくいい映画だった。

NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」校正

校正者大西さん。もともと編集の仕事をしていたので感じることだけれど、校正者というのは作り手から一段落落としたという気持ちを持つ人は多いと思う。そういう蔑んでしまう自分のコンプレックスを乗り越えて、プロとして自分の望む受け身として働いているのがよかった。すごく繊細な方に見えた。仕事も休職して、案件を倒してしまったのにまた同じ業界で続けてやろうと思えたのもすごい。給与はさほどいいものではないけれど、校正者という職人に憧れる人は多いと思う。確かにクリエイティブな仕事ではないのかもしれないし褒められる仕事ではない。けれどそれは編集者も同じだと感じた。どの仕事もそうなのだろうか。憧れからはじめると挫折してしまう仕事であるのはどれもかわりない。本に携わることは、ネットで誤字脱字が編集できる魔法が効かない、人間の手仕事なのでどうしても辛いことが多い。個人的には宇佐美りんさんの御姿を見ることができてうれしかった。彼女の作品は天才だから。

パンツの面目ふんどしの沽券

十字架上のイエス・キリストの下着はパンツか、ふんどしか、腰巻か。幼少期に芽生えた疑問を心の中であたため続け、長じて作家となった著者は、パンツ・ふんどしをめぐる世界史的な謎の解明に挑むことになる。前人未到の試みとして「ちくま」連載中から話題騒然となり、没後、「最も米原さんらしい本」と評される、抱腹絶倒&禁断のエッセイ。

下ネタ万歳なエッセイかと思いきや、下着というテーマをもとに文化人類学的な壮大な人間の歴史を紐解く重厚なエッセイでした。パンツといっても、昔の女性の生理のときはどうしていたのか、日本男児にとってのふんどしはどんな精神的な役割を果たしていたのか、戦争時には下着はどうしていたか、など暮らしの上で必ず登場してくるパンツを古今東西の話題を持ち出しながら勉強になるすばらしい本だった。これはまた読み返したい。

その他

  • ナイブスアウト2:面白いけれどそこまで面白くはなかったかな。アクションが多くてインパクトは多いので友達と観るにはおすすめ。第一段が古い館が舞台で今回はテック系の大富豪と彼を恨む7人のメンバーが集まる。脚本はどうなっているんだろうかと思うくらい、話の展開は驚かされた。脳内で再生されたり巻き戻しされる感じは面白かった。それとダニエルクレイグの衣装がいいです。ちょい役のヒューググラントもくすぐる。
  • ほの蒼い瞳: クリスチャン・ベールとハリー・メリングの演技が光る映画。Netflixで観た。面白かったけれど詰め込みすぎた印象。人の背景にある暗い過去、驚かせるグロテスクな表現、人の死、子どもが親のせいで死んだとしないヤワな優しさ、希望があるようなないような明確にしないエンディング、というのが視聴者が喜ぶと思われている感じがしてNetflixのハウ・ツー理論に辟易しているのもまた事実。映画としては、悪魔言説というテーマとハリー・メリングが演じるエドガー・アラン・ポーは奇妙だがチャーミングな学生時代を垣間見たような気がして嬉しかった。nhkユーロヴェロ70000kn。更新のたびに楽しみにしている番組。前回より気温の暑い時期で体調の変化もあり大変な旅だったそう。オーストリアとチェコは訪れたので自転車の旅を通して違う景色が見れた気分。日本も自転車道が開通するといいなと感じるほど、ヨーロッパの街づくりはうらやましい。アキラさんは俳優でもタレントでもないので、爪痕を残すぞという気合ではなく単純に楽しむ、旅の成功を目指す姿勢がこんなにも好感度があるのだと感じる。ルックスもそうだけど素直さが彼のポイント。
  • ドキュメント72時間大阪アパート:2日目にしないうちに亡くなっていた、痴呆で場所がわかんなくなるから古くても36年ほどの住み慣れた場所から動かない、など明るい集会の雰囲気とはまた別の表情を垣間見れたのが印象深かった。
趣味は読書と映画鑑賞と自転車・散歩。いろいろな土地に住みついて文化や食べ物、言語を学ぶことが道楽。ブログはぼちぼち更新していきます。