猟奇的な情愛『愛のコリーダ』

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マガジンハウス刊行の『& Premium特別編集 映画が教えてくれること。 (マガジンハウスムック &Premium)』で、映画監督の横浜聡子が一番好きな映画として紹介していたので、『愛のコリーダ』を観た。

あらすじ

東京の中のにある料亭の住込み女中となった定は、店の主人に惹かれ、二人はついに駆け落ちを果たす。その愛は、どうあがいても行き詰まりの愛であり、情事を重ねるごとに快楽の世界にのめり込んでいく…。 

世界から注目された阿部定

この女中の定というのが、愛人を殺害し、男根を切り取り懐に入れたまま逃亡し逮捕された、阿部定。この猟奇的な事件は、クーデターなどが起きる不遇の時代で、戦いよりも純愛が求められた時代だったのか、世間の興味と人気を集めた。

さらにこの作品、カンヌ映画祭では情愛を描いた作品として評価を得ているけれど、「ここまで大胆に性愛を描いたものはなかった」という、先駆者に与えられる優位性のようにも思う。

作品への感想

正直、映画としては異常なまでの性交シーンを見せられるだけで、途中から具合が悪くなってしまう。

途中から情深い性描写をどうも観れなくなり (エロスだけの方がまだいいのかもとも思えるほど……)飛ばし飛ばし見終えた。

一生に一度あるかないかわからぬ情愛というのはよくわかったが、他人のふすまの奥の情というものは他人にとっては不可解なことのほうが多い。
愛という言葉にすがりつく思いというのは男女のそれぞれの思いというものを考えるのは、どうも都合が悪いように思う。

男性と女性という別視点

一つ面白いなと思うのは、定の女性人気。

当時、号外で猟奇的な事件が報道されたときに、女性たちは「男根を切り取った行為」について理解できるといい、殺人を肯定するわけではないけれど犯行に至る動機に共感を覚えたらしい。

男の面から見ると、この作品の舞台は、戦争の影が色濃く落ちる昭和11年であり、戦争に行くよりは情愛にまみれたほうがマシだという、監督大島渚の戦争嫌悪を描いているとまとめたほうが、苦し紛れでもまともな作品と思えるのかも。

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