不寛容論アメリカが生んだ「共存」の哲学

権威主義化した宗教には容赦のない批判と揶揄を浴びせかけたヴォルテールだが、人間が信仰をもつということは、彼にとって人間が理性をもつということと同じくらい当然で貴重なことだったのである。

森本あんり (2106-02-07T15:28:15). 不寛容論アメリカが生んだ「共存」の哲学(新潮選書) (Japanese Edition) (Kindle の位置No.58-60). Kindle 版. 

P61

日本の寛容論でもう一つよく聞かれるのが、キリスト教にせよイスラム教にせよ、「一神教はどうしても不寛容だ」という意見である。

P73

「移民・外国人労働者と隣人になりたくない」はインドに次いで多い。これらの数字は、宗教的にきわめて不寛容な日本の現実を浮かび上がらせている(2)。この調査でもう一つ興味深いのは、寛容度の低い日本と中国では、宗教を重視する度合いも低い、という事実である。つまりこの両国では、何の宗教であるかを問わず、そもそも宗教というものに対する寛容度が低いのである。日本人は、クリスマスとお正月を一緒に祝い、生まれた時にはお宮参りをし、結婚式を教会で挙げ、葬式は寺に依頼する。だから宗教に寛容だ、というのが通説だが、こうして見る限り、どうやらそれはうわべだけの話のようである。

P107

日本が多神教の国であるかどうかも天皇制などを考慮するとかなり複層的な評価になるだろう。

P109

多神教だからといって多様であるとは言えない、ということである。信じている神の数が多ければ多様だ、というわけではない。みんなが多くの神を信じているなら、それはそれで、人間の集団としてはむしろ偏っている、ということになろう。宗教に無関心な人ばかりが集まっていても、多様とは言えない。

森本あんり (2106-02-07T15:28:15). 不寛容論アメリカが生んだ「共存」の哲学(新潮選書) (Japanese Edition) (Kindle の位置No.109-111). Kindle 版.

P227

アメリカはまた、「中世なき近代」とも言われる。イギリスやフランスや中国や日本は、それぞれ長い時間のうちにいくつもの段階を経て、いわば「成り成りて」できあがった国だが、アメリカにはそういう過去の「しがらみ」がない。近代合理主義の時代に、王権も貴族もなく、「民主国家はこうあるべきだ」という明確な青写真を作り、それをもとに一発勝負で造られた、いわば人工的な国家である(1)。連邦制や大統領制、政教分離や権利章典を含む成文憲法は、どれをとっても先例のない大胆な冒険であり実験であった。だからその起点が独立時に置かれる傾向にあるのも無理はないのだが、それらの実験が成功したのも、植民地時代の経験を通して人びとの準備ができていたからである。

森本あんり (2106-02-07T15:28:15). 不寛容論アメリカが生んだ「共存」の哲学(新潮選書) (Japanese Edition) (Kindle の位置No.227-234). Kindle 版. 

この時代のピューリタンに目を向けることは、寛容の歴史をひもとくのに重要である。なぜなら、彼らの経験においてこそ、寛容と不寛容との厳しいせめぎ合いが起こっていたからである。

森本あんり (2106-02-07T15:28:15). 不寛容論アメリカが生んだ「共存」の哲学(新潮選書) (Japanese Edition) (Kindle の位置No.238-240). Kindle 版. 

「ピューリタン」という言葉は、「ピュアにする」つまり濁って汚れて堕落したものを純化する、という意味に由来する。何を純化するのか。それは、国家と教会とが一つになったイギリスの国教会体制である。ルターやカルヴァンの宗教改革が始まり、ヨーロッパはカトリックとプロテスタントに分断されたが、イギリスはその中道をゆく「アングリカン体制」をとった。いわば半分だけプロテスタントになったのである。すると、宗教的熱心の常として、それを徹底させ純化させたい、という願いが強くなる。これがピューリタンの由来である。

森本あんり (2106-02-07T15:28:15). 不寛容論アメリカが生んだ「共存」の哲学(新潮選書) (Japanese Edition) (Kindle の位置No.292-296). Kindle 版. 

本書の目的は、その移住組の行方を追いながら、寛容と不寛容のせめぎ合いの歴史を跡づけることである

森本あんり (2106-02-07T15:28:15). 不寛容論アメリカが生んだ「共存」の哲学(新潮選書) (Japanese Edition) (Kindle の位置No.307-308). Kindle 版. 

。イギリスでは批判者であり離脱者であった彼らが、ここでは形成者となり建設者となるのである。まるで、学生時代には全共闘で鳴らしていた人が、卒業して社会人となり、大企業の重役や政府の要職に就いたような状況だろう。そこで起きたのが、「不寛容」である。本書がまず注目しなければならないのは、彼らのこの不寛容である。彼らは、自分たちの自由を求めて移住した。旧世界で不寛容と迫害に苦しめられたからこそ脱出したのだが、その彼らが新世界で作ろうとした社会にも、意見の違う人は少数ながら必ず出てくる。すると彼らは、さんざん自分たちが苦しめられてきたはずの不寛容を、今度はその少数者に向けて迫害するようになった。実に皮肉で残念な事実である

森本あんり (2106-02-07T15:28:15). 不寛容論アメリカが生んだ「共存」の哲学(新潮選書) (Japanese Edition) (Kindle の位置No.315-321). Kindle 版. 

。イギリスでは批判者であり離脱者であった彼らが、ここでは形成者となり建設者となるのである。まるで、学生時代には全共闘で鳴らしていた人が、卒業して社会人となり、大企業の重役や政府の要職に就いたような状況だろう。そこで起きたのが、「不寛容」である。本書がまず注目しなければならないのは、彼らのこの不寛容である。彼らは、自分たちの自由を求めて移住した。旧世界で不寛容と迫害に苦しめられたからこそ脱出したのだが、その彼らが新世界で作ろうとした社会にも、意見の違う人は少数ながら必ず出てくる。すると彼らは、さんざん自分たちが苦しめられてきたはずの不寛容を、今度はその少数者に向けて迫害するようになった。実に皮肉で残念な事実である

森本あんり (2106-02-07T15:28:15). 不寛容論アメリカが生んだ「共存」の哲学(新潮選書) (Japanese Edition) (Kindle の位置No.315-321). Kindle 版. 

不寛容に不寛容をもって応えることは「寛容の自殺」であり、不寛容を肥大させるだけだ。だからあくまでも寛容を貫くべきである。たとえそのために自分が滅びることになるとしても、寛容は個人の生命を超えて生き続けるだろう(

森本あんり (2106-02-07T15:28:15). 不寛容論アメリカが生んだ「共存」の哲学(新潮選書) (Japanese Edition) (Kindle の位置No.387-389). Kindle 版. 

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