『ブーリン家の姉妹』を観ました。(以下、ネタバレありです)
ブーリン家の姉妹
あらすじ
感想
本作ではナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンという若手美人女優の共演がとても華やかなのだけれども、(当然ではあるけれど)姉妹と言えないほど顔が似ていない。もしかすると、諸説あるがブーリン姉妹の母親もヘンリー8世の妾として扱われていたことを考えると、野心家ブーリン一家の関係性が怪しい。血がつながっていないことも考えられる。
男の出世と快楽のために愛人に仕立て上げられ、翻弄されていく姉妹は悲劇的だ。さらに最後は、弟にまで悲劇が起こる。歴史とはこうも女が男児を産めるかいなかにかけられていたのかと思うと、神々しく見える宮廷の人間たちこそとても血生臭く人間らしい。そういうところが私が16世紀〜18世紀のイギリスの歴史に惹かれている部分であるようにも思う。
史実によると、アンとメアリーはどちらが姉で妹かという情報は残されていないらしい。映画の構成を見ると、妹に男を取られることに腹を立てるという流れのほうがスムーズだし、末っ子として賢い姉の方が大切にされてきたという設定もわかりやすい。しかし、一番悲劇なのは、ヘンリー8世の正妻だったキャサリンなのは間違いない。男性の世継ぎがいなかった(生まれはしたが早くに死んだという説もある)ため、夫は愛人を求め自分より若くて美しいアンとメアリーが宮廷に招かれる。
愛人候補に仕立て上げようとするも、馬術の得意なアンは崖まで降りてそれを追いかけたヘンリーは怪我をして王はプライドを傷つけられたという理由で、差し出された妹メアリーのことを気に入る。次男であったヘンリー8世は同じような立場の次女のメアリーに共感して、信頼と寵愛を受けることとなる。ここで気になるのが、ヘンリー8世の恋心の持ち方。ヘンリー8世は実兄の妻であったキャサリンと再婚をしている。最終的なひどい裏切りとは裏腹に、早死にして兄の未亡人となったキャサリンと恋に落ちる。彼は大変ロマンチストな男であったと言われているが、感受性が強く、他者の感情に非常に共感しやすい「エンパス」だったのではないかと思う。(史実とは異なるかもしれないが)前妻のキャサリンとの結婚もそうであるし、映画で描かれた妹メアリーに惹かれた姿も他者への共感が好意のきっかけとなったように見える。
その後、メアリーは男の子をもうけるのだけれども、妊娠中に体調を崩しがちということもありまるで幽閉のような状態で部屋に閉じ込められてしまう。体を気遣ってのことであるが、この結果、王が妊婦のメアリーに近づけないため気持ちが離れないようにする必要があり、フランスに行かせていた姉のアンをイギリスに連れ戻す。フランス宮廷で培った話術と作法にヘンリー8世は一気にアンに魅了されることとなる。
ここでも彼のエンパスが見られるのだけれど、最初にアンには興味を示さずに妹に興味を持ったくらいなので、いくらフランス帰りの洗練された印象があったとしても彼女に好意を寄せるというのは考えにくい気がしている。個人的に思うのは、これはヘンリー8世のフランスへの劣等感から来るものではなかったかということだ。
本来、彼は有能なルネッサンス君主なのだが、薔薇戦争から生まれた正当性の怪しいテューダー朝を堅固にするために、陰謀を抑え王権を確立しなければならず、その一方で、ヨーロッパではイングランドの地位は地盤沈下しており、ハプスブルク・スペインやフランスに大きく水をあけられている現状に対する不満や焦りなどがストレスとなり、異常な残虐性や肥満につながったようだ。(参照:Zorac歴史サイト - ヘンリー8世と結婚問題)
作中では、ヘンリー8世はイケメン俳優が演じているが、歴史の教科書でも見るように実際のヘンリー8世は顔が大きくて白いハイソックスが似合わない太った大型の男だ。上記に書かれているように、スペインやフランスへの劣等感が感じられる。もしも、劣等感からアンに近づいたとすれば、作中の愛というよりは服従させていたような姿にもつながってくる。その後アンと恋(?)に落ち、結婚したいと考えたヘンリ8世はキャサリンとの離婚を合法化するためにローマ教会決裂し、英国国教会をつくる。諸説はあると言えど一人の感情で歴史は動いている。
結局ヘンリー8世は男児を産めなかったアンから気持ちは離れ、アンとの関係を切るために反逆、 姦通、近親相姦などの罪で死刑判決を受けて首切り処刑を行う。斧での首切りを拒否した彼女は刀で処刑されることとなるが、当時の刀は切れ味が悪くひどい最後だったという話も聞く。男児が産めないアンは実際に弟と関係を持ったという諸説もある。悪女としての噂は事実だったのだろうか。しかしその後彼女が生んだ娘エリザベス1世がイギリスを強大にしていく。ある意味、彼女は報われたような気もしてくる。
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