世の中で生まれ続ける問題と解決策の基礎的な知識、用語、取り組み、人々の生活など、さまざまなアプローチから論じているTEDスピーチ。
今回は、TEDxOtemachiのイベントで2019年9月15日に行なわれた、北村紗衣さんの『Negotiating the Roles of Citizen, Spectator, and Consumer-市民、観客、消費者の協業する役割-』を観ました。
【動画】北村紗衣『Negotiating the Roles of Citizen, Spectator, and Consumer-市民、観客、消費者の協業する役割-』(Youtubeより)
北村紗衣『よき市民、観客、消費者の協業し合う役割』
スピーチについて
講演の内容は、
「一人一人が複数のアイデンティティを持ち、異なるグループに属し、さまざまな役割を果たしている、このような混乱に満ちたカオスの世界で、私たちが良き市民として、演劇鑑賞者として、そして文化的消費者としてどのようにすれば倫理的で注意深く行動できるかについて」お話されています。イギリス演劇史、批評的思考、フェミニズムを学びたい人にもぴったりの内容です。
プロフィール
北村紗衣(きたむら・さえ)
1983年、北海道士別市生まれ。専門はシェイクスピア、フェミニスト批評、舞台芸術史。東京大学の表象文化論にて学士号・修士号を取得後、2013年にキングズ・カレッジ・ロンドンにて博士号取得。現在、武蔵大学人文学部英語英米文化学科准教授。
ツイッターやはてなブログではSaebouのペンネームで知られ、数多くの観賞経験を元におもにフェミニズムや映画評論について書いている。
ラジオ『アフター6ジャンクション』では映画批評やテレビ『マツコの知らない世界』では彼女自身がWikipediaに積極的に執筆するウィキペディアンであることも紹介し、幅広い文化的意見を様々なメディアで発信している。
▼おもな著書
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学んだこと
単に芸術的な美学を受け入れるのではなく、周りは拍手していても時々は拍手をやめて、実際に見ているアートワークの価値について疑問を投げかける必要性、そしてこれが批評であり、批判的であることを恐れてはいけないというメッセージが心に響いた。
Simply enjoying art works but accumulating experiences is also essential as aesthetic artistic. I have to say that theater is a very dangerous form of art because it can elicit highly a emotional and unified response from the audience via direct face to face interaction between performer and spectators.(スピーチより抜粋)
彼女自身、自称「不真面目な批評家」であり、批評という視点で様々なアートワーク(演劇や海外ドラマ、映画など)を楽しまれてる。批判的であることは、同時に心を開き社交的な消費者になれるということ、そして良き市民を達成するための自由な思想を持つことを可能にすると理解できた。
演劇や映画などはお金を支払ったという時点で、特定の主義や思想について偏った宣伝を受け取るプロバガンダになる危険性を持っているため、本当に自分にとって価値があるのか、だとしたらどのような点に感銘を受けたのか、「批評」という大きなテーマを持って文化を受け入れることでより楽しめることに気がつけた。
彼女自身が教師であり、教師は演劇に出ている人と同じように観客(相手は学生)の自由な思想や美徳を達成する大変な職業であり似ているものだと意識されて行動されているのもかっこよかった。こういう教師のもとで学べる学生は幸せだと思う。