新型コロナウイルス流行を受け、エリザベス女王が行った異例のテレビ演説が話題です。幾多の試練を乗り越えた「史上最長・最強のイギリス君主」の歩みについては、君塚直隆著『エリザベス女王-史上最長・最強のイギリス君主 (中公新書) 』に詳細がまとめられています。
- エリザベス女王即位当時のスピーチ
- その後3回にわたるスピーチ内容の概要
- コロナ禍での異例のスピーチについて

エリザベス女王のドラマチックな半生を知れて本当におすすめだよ
1940年のスピーチ
ラジオと王室の関係。1940年10月13日の「子どもの時間」だった。ここでエリザベス女王、戴冠式前だったのでリリベットはイギリス全土の子どもたちに訴えた。
「私たちは勇敢な海陸空の兵士たちを助け、戦争という危険で悲しい出来事を耐え忍ばなければなりません。皆さんもそうだと思いますが、私たちは最後にはうまくいくことを知っています。なぜなら神様が私たちに勝利と平和を与えてくださるからです。そして平和が到来した暁には、今日の子どもたちのすべてが、明日の世界をよりよい幸せなものに作りあげていくことを忘れないでください。」(P 34,L5-9)
王室のラジオの県警というのは、1932年のクリスマスにはじまっていた。エリザベス女王の叔父にあたるジョージ5世は帝国全土に向けて、BBCラジオを通じ「クリスマス・メッセージ」を発信した。
恒例のクリスマススピーチ第一回 1952年
1952年の初めてのクリスマス・メッセージで、女王は亡き父王・ジョージ6世(英国王のスピーチの主人公)のように帝国全体の人々に近づきたいとの希望を発信していた。
その父ジョージ6世は、かつてコモンウェルスの主将たちに「君主というものは権威を付随した抽象的な象徴であるかもしれないが、国王自身は個人なのだ」。(P 67,L11)
即位2年目1953年
即位二年目の1953年12月は、ニュージーランドの当時の首都オークランドで発した。メッセージが午前9時にはロンドンに届けられ、その日の午後3時にあらためて放送された。
全世界の人々に伝えたメッセージには次のような一文が盛り込まれていた。「私は君主というものが、われわれの団結にとって単に抽象的な象徴であるだけでなく、あなたと私の間を結ぶ個人的な生きた紐帯(ちゅうたい)であることも示したいのです」。これこそコモンウェルスはもとより、イギリス国内で「君主とはどのような存在なのか」を、実に見事に表現した神髄ともいうべき言葉である。
即位3年目1954年
1954年の半年にわたる夫妻で行った世界一周の旅のなか、ニュージーランドでクリスマスを迎えた。この年の前のクリスマスから彼女は毎年恒例となる「クリスマス・メッセージ」をBBCのラジオを通じて、イギリス、英連邦王国、さらには植民地へと発信するようになっていた。
コロナ禍の異例のスピーチ
1932年からはじまっていた王室のラジオの関係と同じように、王室はその時代に即した最新の機器を利用し、国民との関係を深めていった。
<参考>
Coronavirus: 'We need Easter as much as ever,' says the Queen
Britain's Queen Elizabeth, 94, pictured horseback riding during lockdown