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【TEDで学ぶ基礎からトレンド】新井紀子『AIは大学入試に合格できるか?』

世の中で生まれ続ける問題と解決策の基礎的な知識、用語、取り組み、人々の生活など、さまざまなアプローチから論じているTEDスピーチ。

今回は、新井紀子さんの『Can Robot pass a university entrance exam?-AIは大学入試に合格できるか-』を観ました。

【動画】新井紀子『Can Robot pass a university entrance exam?-AIは大学入試に合格できるか-』(TED公式サイトより)

スピーチについて

講演の内容は、

「東京大学の入学試験で上位20%の学生に実施されたAIプロジェクトであるTodai Robot。東大ロボットの成功に必要なことが見えてきた中で、人間に必要な教育について憂慮すべき疑問を投げかけます。人間よりも優れた力を持ち得るAIに負けない人間力とは?」。

AIという新技術、ロボット研究、教育を学びたい人にもぴったりの内容です。

プロフィール

新井紀子(あらい・のりこ)
新井 紀子は、日本の数学者。専門は数理論理学、遠隔教育。 国立情報学研究所社会共有知研究センター長・教授。東京都出身。一橋大学法学部およびイリノイ大学数学科卒業、イリノイ大学5年一貫制大学院数学研究科単位取得退学(ABD)。東京工業大学より博士(理学)を取得。専門は数理論理学。2011年より人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトディレクタを務める。2016年より読解力を診断する「リーディングスキルテスト」の研究開発を主導。

学んだこと

数学者からの視点

新井紀子さんのことは、TBSラジオ『伊集院光とらじおと』に出演されていたことで知っていた。大学は文系の法学部であったが、そこから理転して数学者になったという経歴にびっくりしたことを覚えている。文転は比較的よく耳にするし、文系が理系に転換というのは難しそうだなと思った。文系・理系の垣根のない研究者というのは珍しいのではないだろうか。

2000年代後半の機械学習の状況を見て、「ホワイトカラーの仕事はAIに奪われるのではないか」と思うようになったそうだった。このことを2010年に本に書いたが、あまり信じてもらえなかったそう。加えて、AIの「良いところ」ばかりがアピールされていた状況だったため「AIはここまではできるけど、ここからはできない」ことを見せないといけないと思った。つまり彼女はAIの限界を見せたかったということになる。そのために、AI(のちの「東ロボくん」)は東大に受からないことを証明しようと思った。

結果として、東ロボくんは東大には入れないが有名私大には合格できるレベルということがわかった。つまりこれが示すことは、日本の大学卒業生の多くがAIのもとで働くということだ。

彼女が持った危機感

You might think I was delighted. After all, my robot was surpassing students everywhere. Instead, I was alarmed. How on earth could this unintelligent machine outperform students -- our children? Right? I decided to investigate what was going on in the human world. I took hundreds of sentences from high school textbooks and made easy multiple-choice quizzes, and asked thousands of high school students to answer.

この結果に私が喜んだと お思いでしょう なにしろ私たちのロボットが 多くの学生を超えたんですから 私はむしろ懸念を抱きました どうして この知性を欠いた機械が 人間の学生を 私たちの子供たちを 凌駕できたのでしょう? 人間の世界で何が起きているのか 調べることにしました 中高の教科書から 文を数百個取り出し 簡単な選択式問題を作って 数千人の中高生に 答えてもらいました

東ロボくんは東大には“想定通り”合格できなかった。この結果について考えているうちに、子供たちにテストを受けさせた読み方がどこかおかしいことに気づいた。教科書や新聞などを題材に読解力をテストしたところ、子どもたちは真剣に回答したにもかかわらず正答率が低かった。人間たちの読解力の低さを表していることがわかったという。

ちなみに、約4万人の調査を通じて、中学生の半数は教科書を読めない状態で卒業しているのではないかということがわかった。これはかなり危機的な状況だと思った。

読解力に必要な力

We have been believing that everybody can learn and learn well, as long as we provide good learning materials free on the web so that they can access through the internet. But such wonderful materials may benefit only those who can read well, and the percentage of those who can read well may be much less than we expected. How we humans will coexist with AI is something we have to think about carefully, based on solid evidence. At the same time, we have to think in a hurry because time is running out.

能力を伸ばせるような 優れた教材が ウェブで無料公開され インターネットで 見られるようになっていれば 誰でも 良く学べるはずだと 私たちは そう 信じてきました でも そのような素晴らしい教材も 恩恵を受けられるのは ちゃんと読める子だけで そして ちゃんと読める子の割合は 私たちが思っているより ずっと少ないのかもしれません 人間がAIと どう共存していくかは しっかりした証拠に基づいて 慎重に考える必要があります しかも急いで そうしなければなりません 時間がもうないのですから

この危機感はむしろ人間側の教育にあることということが示される。いくら子供たちに学習の場を提供したとしても、それ自体を「読めていない」のでは意味がない。彼女は生きるためにはまず生物として生きる力が必要と話す。彼女はこの生きる力を「ゴリラ力」と呼んでいた。危険察知力や体力など総合的に地球で生き抜く力が人間がAIと共存するには必要になるということだった。家庭のなかでは、文字を増やす、家族間の会話を増やす、外部とのつながりをつくるなど提言していた。

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参考・引用

『伊集院光とらじおと』ゲスト・新井紀子さんのお話のメモ - 2018年2月22日放送

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