香港映画『29歳問題』

[映画レビュー]30を過ぎると一気に結婚できなくなる⁉︎ 泣ける&コミカル香港映画『29歳問題』

『29歳問題』(原題:29+1)というタイトルと中文映画を観たくて選んだ作品。すすり泣くほどに感情移入したいい映画だった。ネタバレありです。

香港で暮らすクリスティ=ラム・ヨックワン(クリッシー・チャウ)は、仕事も恋愛も順調だったが、30歳の誕生日を1か月後に控え、仕事のプレッシャーや恋人とのすれ違い、認知症の父親との関係に悩むようになる。さらに住んでいたマンションを追い出され、旅行中の女性ウォン・ティンロ(ジョイス・チャン)の部屋に彼女の留守中住むことになったクリスティは、自分と同じ生年月日の彼女の日記を読み、ささやかな日常が幸せそうに思えて……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

舞台を映画化にした映画作品で、ラストには舞台の映像も見れる。主人公は30歳のキャリアウーマンで、彼女は同い年で同じ誕生日の会ったこともない女性の部屋で1ヶ月暮らし始める。その彼女は、自伝的な日記を書いており、世間体も気にせずにルックスも恋愛もキャリアも関係なく自分の好きなように生きている女性に見える。その日記を読むと、仕事も恋愛も家族関係もうまくいかなくなっている主人公は嫉妬しあらゆるものに依存し、自立できていない自分と対立して苦しむ。

「すべてを持っている」はずのものがバラバラになっていく感覚に飲み込まれそうになるクリスティ。知り合いのつてをたどり期間限定で転がり込んだ仮住まいは、ティンロという名の女性が長期パリ旅行に出掛ける間、好意で貸してくれた留守宅でした。レスリー・チャンに憧れ、彼が出たドラマの影響でパリに憧れたのが一目で分かる装飾が施されたティンロの部屋の中で、クリスティは一冊の日記を見つけます。

そのページを開くと、つづられていたのはクリスティと同じ年の同じ日に生まれたティンロの日常。それはクリスティにとって、自分にもあり得たかもしれない、もう一つのパラレルな人生だったのです。(29歳問題。なぜそれは「問題」なのか
「一線を越える」前の私たちに普遍的な迷いと、その処方箋)

痴呆症の父親の電話を切ったことをきっかけに次に会うのは倒れた後の病棟でそのあと帰らない人になったことを後悔する主人公とも近しい感情になった。私自身も両親との距離の取り方がわからない。年に一度会うたびに老けていく、距離の近い人間ほど近くにおいておけない生き方でいいのか自問自答する。20代前半には自由にしていたものの、この自由が本当の自由でなくなる瞬間が30代を目前に近づいてくるようにおもう。今は介護”してもらう”のが当たり前になっている。子どもたちはお金さえ出せば両親に親孝行できるのだろうか。でもそんなお金を稼ぐキャリアも捨てて、親の面倒ですら見れるかわからない私は正しく生きてこれているのだろうかと思ったりした。

終盤で、日記の彼女は乳がんを患ったことを知る。乳がんになったことを、幼なじみで親友の男の子に告白して、胸を触ってほしいとお願いするシーンは素直で誠実でグッときた。体の関係もなく、ただ一緒にいて楽しかった友達は途端に恋愛関係となるが関係性は変わらずに、病気がよくなってからセックスしようと約束するシーンもよかった。急がない関係というのだろうか、何かに追われていては何も求められないし何もつかめない、30歳になり仕事に結婚にと急ぐ人々の気持ちと反対にある感情というものは豊かで羨ましかった。

ガンがわかり、仕事もやめて行ってみたかったフランスのパリに一人旅に出かける。やりたかったことをすぐに実行するというのは、本当はいつでもできるのになかなか実行にうつすって難しい。「人生は思い通りにはならないけれど、それを受け入れる自分を変えることはできる」というのは私も持ち続けたい気持ちだった。

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