手の倫理 (講談社選書メチエ)

伊藤亜紗『手の倫理 』

伊藤亜紗『手の倫理 』(講談社選書メチエ) を読んだ。

あらためて気づかされるのは、私たちがいかに、接触面のほんのわずかな力加減、波打ち、リズム等のうちに、相手の自分に対する「態度」を読み取っているか、ということです。相手は自分のことをどう思っているのか。あるいは、どうしようとしているのか。「さわる」「ふれる」はあくまで入り口であって、そこから「つかむ」「なでる」「ひっぱる」「もちあげる」など、さまざまな接触的動作に移行することもあるでしょう。こうしたことすべてをひっくるめて、接触面には「人間関係」があります。

伊藤亜紗 (2106-02-07T15:28:15). 手の倫理 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.59-64). Kindle 版.

社会学者のノルベルト・エリアスは、「不快や不安を感じる範囲が推移する」ことこそ文明化の過程なのだと言います2。バフチンが「カーニバル的」と呼んだ中世世界の野放図な接触を不快に思うことが近代化だったとすれば、今回のコロナ禍による生活の変化も、そうした文明化のプログラムの最後の一手のようなものだったのかもしれません(もちろん、すべての文化が西洋近代化の影響下にあるわけではありません。その波から一定の距離を保ち続けている文化もたくさん存在します)。

伊藤亜紗 (2106-02-07T15:28:15). 手の倫理 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.151-156). Kindle 版.

 

「ローカル女たちよ!」は個人が運営するブログです。気ままに投稿していますので気が向いたらぜひまた来てください。Twitter:wkrnikt