pexels-photo-4866043

医学部受験で9年浪人の、母親殺害について感じたこと

躁うつと言われても、飲み込み切れずに病院には行っていない。医師からいつも言われるのは、「信じてもらうしかないんです」と「お母様からの遺伝ですね」ということだった。だからだろうか。受け入れられないし、母からの遺伝ではなく、ケアが欲しいのに、どうケアをしてもらったらいいのかがよくわからないでいる。

『医学部受験で9年浪人 〝教育虐待〟の果てに… 母殺害の裁判で浮かび上がった親子の実態』というニュースを観てから、自分のことも思い出して涙が少し出てきた。

自分に起きていることが救いを求めることであるとも気付けずに助けてもらえなかった女性。私も彼女と少し似た境遇だった。母親の場合は、学歴コンプレックスと結婚に対するコンプレックス。いつでも優等生でいることを望まれたし、異性交流はしてはいけないという誓約書を書かされたこともあった。夜中に父親と結婚した後悔と私を産んだ後悔を長々と罵声のように浴びせられたときには気が狂いそうになった。あの日のことは今でも思い出すし、自分がたまに死にたくなる要因のように思う。

だから「死にたくなることがある」と医者に言うたびに、それは「お母様からの遺伝ですね」「同じ双極性障害です」と言われても納得はできないし、受け入れることが私のケアにはならないのである。こうして私は今では自分の意思を持って生きている、それができたのは大学合格だった。たまたま家から出て、外の世界を知った。

今回の被告となった女性は外の世界を見せてもらえなかった。看護師の道はあったのに、それも親のエゴで塞ぎ込まれたことが悔やまれる。

2018年4月、桐生しのぶさん=当時(58)=の切断された遺体が滋賀県内の河川敷などで見つかった。県警は同年6月、大学病院で看護師として働き始めていた31歳の長女のぞみ被告を死体遺棄、損壊容疑で逮捕、9月には殺人容疑で再逮捕した。今年2月に確定した大阪高裁の控訴審判決によると、のぞみ被告は滋賀県守山市内の当時の自宅で、しのぶさんの首を包丁で刺して殺害し、3月10日までの間に遺体をのこぎりなどで切断し捨てた。(参照記事

母親は工業卒業で学歴コンプレックスを抱いていて、それを解消することを娘に求めた。母娘関係のもっともこじれた事件のように思えた。母娘関係は毒親になりやすい。体も同じだし、自分と相手が同じだと思い込んでしまう。

―お母さんはなぜ医者になることにこだわったのですか?  「母はいわゆる教育ママでした。公立高校が進学校とされて、そこから東大や国公立医学部に行くのが滋賀県民のエリートコースだと言い聞かされていました。母はそのレールに私を乗せようとしました。母は工業高校を卒業したそうです。最終学歴が高卒であることを悔やんでいると何百回も聞かされました。学歴コンプレックスがあったのだと思います」(参照記事

浪人生活で囚人のような生活を10年近く。不合格のたびに罵られた彼女の気持ちになるといたたまれない。殺人のその日も、母親のマッサージをしていて眠ったところを襲っている。マッサージも長年させられ続けていたのだろうと思う。労いとはまた違う、服従の一つ。あなたのためにお母さんは頑張っているんだから、そういう声が私の耳元でも聞こえてきた気がした。

毒親を持つ子供は多い。大体は自分を責めて自分を殺したくなるように思う。彼女はそれ以上に追い詰められていて、自死ではなく他殺を選んだ。その境界線はさほどないようにも思う。私も彼女になったのかもしれないと思わされる事件が最近増えた。それだけ若い女性たちは今もどこかで苦しんでいる。

「ローカル女たちよ!」は個人が運営するブログです。気ままに投稿していますので気が向いたらぜひまた来てください。Twitterは@wkrniktです。気軽にフォローどうぞ。